研究概要 |
近現代日本における婚姻率は、戦後の1947をピークに大方減少の途をたどっている。初婚年齢も高まり晩婚化・少子化も深化しつつある。離婚率は、近代期においては漸次低下の傾向にあったが、戦後とりわけ1970年以降は上昇の傾向にある。離婚は婚姻期間20年以上の夫婦においてもは増えつつある。再婚の割合も高進し、初婚・再婚のカップリングも多様化しつつある。出生・婚姻・離婚の動向には地域により若干の差異があるが、近年類似的な傾向を示しつつある。 沖縄も出生・婚姻・離婚の各項目において全国と同様の傾向化にあるが、本研究においては沖縄的特質も析出された。沖縄は、(1)出生率・合計特殊出生率ともに全国一高い。(2)初婚年齢は従来言われているように必ずしも低くなく、妻は全国でも高く、晩婚である。(3)婚姻年齢がやや分散的であり、それは年齢分散型の出生動向とも関連している。(4)再婚割合が高く、婚姻組み合わせも全国に比べるとバリエーションに富んでいる。(5)全国で最も高い離婚率が続いている。(6)同居期間別の離婚割合は「2年未満」で低く、「2年以上15年末満」で高く、「20年以上」で低い。(7)全国的に高失業率、第三次産業就業者比率の高さ、核家族世帯割合の高さ等は離婚率と高い相関があり、沖縄も首肯しうる。(8)全国的に共働き世帯割合、3世代世帯割合と離婚率には高い逆相関関係がみられ、沖縄も首肯しうる。 家族構成の変動については,全国的に世帯の小規模化、核家族化、高齢家族化、単独家族化が進行しているが、地域により必ずしも一様ではない。本研究では戦後の「国勢調査」結果にもとづきながら家族類型別世帯分類の9つの項目に関し時系列的・各都道府県別に整理し、それぞれの動向や類型別世帯間及び関連社会的指標との相関関係を分析し、それぞれの地域特性について考察した。
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