1.平成10年度は、交付申請書に記載した研究の目的、研究実施計画に沿って次の作業を遂行した。 (1)平成8〜9年度に実施した教育基本法成立過程の資料実証的研究で購入した辻田力文書(マイクロフィルム)の複写を図り、これに上記研究で蒐集した田中(耕)文書、田中(二)文書等を加えて、学校教育法立案過程、地方教育行政改革案・地方教育行政に関する法律案要綱・地方教育委員会法要綱案の立案過程、教員身分法案立案過程(以上1947年10月ごろまで)を整序するとともに、戦後教育開改革立法史年表の作成にとりかかった。(2)佐藤=鈴木=土持編『戦後日本教育改革在来資料集成・第一部』(マイクロフィッシュコレクション)を購入し(納入時期遅延のため上記(1)の作業を先行させることとし)、その複写・整理が現在進行中である。(3)2回の東京出張で厚沢文書、森戸文書等の調査、入江文書他に含まれる臨時法制調査会関係資料等の調査を実施したが、予算及び日程の制約上、当初の目的が十分達成されたとはいえず、資料の蒐集を含めた次年度に課題を残した。 2.上記1-(1)の作業を進めた結果、被占領期の教育改革立法研究では、個別立法過程の解明だけでは不十分で、教育立法政策全体の生成と発展のプロセスを究明するなかにそれを位置づける必要があると、あらためて痛感させられた。とくに教育改革立法体系化に果たした田中二郎の役割の究明が不可欠である。 3.なお、本研究では内容的中等教育改革を重視する予定であったが、厚沢文書には、むしろ講話以後の時期の関係資料に重要なものが在ることが判明した。資料蒐集にあたり、厚沢文書を中心にするか大田周夫文書に重点を移すかの検討は、次年度以降に行うこととしたい。
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