研究概要 |
本研究において研究代表者は、第一に、戦後教育改革在米資料第1部(CIS/丸善共同出版)および厚沢留次郎文書のマイクロフィルムを購入し、また大田周夫文書、GHQ/SCAP文書等の調査を実施した。第2に、これらの資料研究と併行して、上記資料のほか、すでに蒐集済みの田中(耕)文書、田中(二)文書、第90回帝国議会議事速記録、戦後教育資料の一部等々を用いて、学校教育法、教育委員会法、教育公務員特例法などを中心に被占領教育改革立法過程を整序する作業に従事した。とくに、田中(耕)文政発足期の教育改革立法政策生成過程の解明に力を注ぎ、研究成果報告書の内容とした。研究成果報告書であきらかにした点は次の諸点である。 1.田中(耕)文相のいわゆる"教育根本法"発言は、学校教育法の立案を想定してなされたものであること。 2.臨時法制調査会が教育法=学校教育法の制定を急ぐよう決定したことにより、1946年7月下旬に学校教育法の立案作業が開始されたこと。 3.臨時法制調査会の方針に枠づけられた文部省の教育改革立法政策は、第90回帝国議会の教育論戦に規定されて展開したこと。とくに教育根本方針の憲法条規確立論は、8月22日付学校教育法要綱案の教育根本原則規定におおいに関係がある。 4.田中(耕)文相の個性的教育改革論が文相就任,議会の論戦,CI&E教育課との衝突等々を媒介にして、微妙に徐々に変容を遂げていることをとらえておくことも重要である。 なお、予算等の事情により研究成果報告書は一部未完の部分が残ったが、平成13年度のできるだけ早い時期に刊行し、報告する予定である。
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