日本の学校経営の原型は、1956年制定の地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地方教育行政法)によりその法制的な枠組みが形成され、1971中教審答申(いわゆる46答申)によって学校の内部組織の整備が図られることによって完成した。脆弱な経営基盤と「校内責任体制の確立」を基調とするこうした我が国の学校経営は、1980年代の教育改革により、とりわけ90年代の行政改革により、自律的学校経営の実現へと大きくその姿を変容・転換を促した。こうした変容・転換を促した要因について解明することを目的とする本研究の平成10年度の実績は次の通りである。 (1) 地方教育行政法の立法過程とその展開について、「木田文書」(国立教育研究所)により、「56年体制」の学校経営政策がどの様に形成されていったかを明らかにする作業をおこなった。「木田文書」の目録が作成されたばかりであり、本格的解明は今後に残されている。 (2) 愛知県などの地方文書などにより、56年体制以前の学校経営秩序やそれを支えた行政体制がどのように形成されていったかを明らかにする作業を行った。 (3) 本年度は主として地方在住の関係者へのインタビューを行い、本研究の妥当性、56年体制の受け止め方などについて明らかにする作業を行った。 (4) 以上の他、日本の学校経営政策の基調が形成される過程と政策の基調を理論的に明らかにする作業を行った。
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