研究概要 |
本年度(研究第2年度)は,研究対象である茨城県立八千代高等学校総合学科について,1.発足2年目を迎えた段階における入学生徒の特性および入学の経緯の変化,2.2年生になった第1期生の学校に対する構えや意識,3.近隣の中学校の生徒の同学科に対する見方を明らかにすることを中心に研究を行った。 1.入学生徒の特性の変化に関して:関係者に対するインタビューと質問紙調査における第1期生の結果と第2期生の結果を対照することで,(1)入学生徒の特性が,中学時代の学業成績や学習態度からみて,より向学校的になってきていること,(2)入学の経緯が,第1期生よりも「総合学科」志向でなくなってきていること,(3)それゆえに全体として,「総合学科」であることよりも学校階層上の地位の上昇に惹かれての入学が目立ちはじめていることを明らかにした。 2.2年生になった第1期生の学校に対する構えや意識に関して:関係者へのインタビューと2年次になった第1期生に対して継続して行った質問紙調査の結果より,この1年間で,(1)生徒の学校に対する構えがより積極化していること,(2)しかし,その一方で,それが形式化する傾向を見せていること,(3)こうした傾向は,彼らの学校観にも見て取れることを明らかにした。そして,この背景には「資格」を中心にした学校の枠づけの強化があるものと推測した。 3.近隣の中学校の生徒の同学科に対する見方に関して:近隣の中学2年生に対する質問紙調査の結果から,中学生の同学科に対する見方が,一方で「選択」という総合学科の特徴に向けられつつも,その一方で,同学校の学校階層上の地位や進路実績に向けられており,二重構造化していることを明らかにした。
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