平成10年度の研究実績 当初、研究の焦点を「体験学習におけるファシリテイターの資質」に絞り込む計画であったが、以下の理由から、今年度は、研究の焦点を「体験学習への関心と精神世界への関心の相関関係」に移行すべきであると判断するに至った。(1)継続調査地(「実践教育活動・あぶらむの里」)の今年度の活動内容と実質的な関連を持つこと。(2)「あぶらむの里」と親しい僧侶大下大圓氏と対談する機会を得たこと。(3)筆者自身の著作『魂のアイデンティティ -心をめぐるある遍歴』が出版されたこと。 その結果、今年度は、調査の対象を「あぶらむの里」に集中させ、特に「ボランティア活動参加者における精神世界(哲学・宗教)などへの関心」について聞き取り調査を行った。また、そのテーマに関して行った対談は、平成十一年夏をめどに「日本青年奉仕協会」からの出版を準備中である。また、シュタイナー農場に係わる人達の自然観と精神世界への関心についても調査観察を行い、研究の糸口をつかんむことができた。 <体験学習に参加する動機>と<精神世界に関心を持つ動機>との関連、及び、その異質性、そうした関心に含まれる危険性についての丁寧な検討は、現代青年を相手にしする「ファシリテイター」の資質を問う上で、極めて貴重な作業であり、今後の研究に向けての確かな手掛かりをつかむことができた。
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