今年度は、「体験学習と精神世界の相関関係」に焦点を当てながら、現代日本における「知の枠組みとしての精神世界」を本格的に調査する作業に従事した。 調査の対象は「実践教育活動・あぶらむの里」に集中し、特に「ボランティア活動参加者における精神世界(哲学・宗教)などへの関心」について聞き取り調査を行った。また、そのテーマに関して行った「あぶらむの里」と親しい飛騨千光寺の僧侶大下大圓氏との対談は、日本青年奉仕協会から『「わたし」と「こころ」を考える-ボランティアと精神世界』として出版された。更に、このテーマに関する包括的な考察として論文「知の枠組みとしての<精神世界>」をまとめ、体験学習に参加する青年たちの精神的背景について考察を深めた。 更に、この領域と深く関連する音楽(ニューエイジ音楽)の分析検討の必要を感じ、資料の収集を開始したが、この点については来年度の課題として持ち越すことになった。 <体験学習に参加する動機>と<精神世界に関心を持つ動機>との関連、及び、その異質性についての丁寧な検討は、現代青年を相手にしする上で、極めて貴重な作業であり、今後の研究に向けての確かな手掛かりをつかむことができたと思われる。
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