平成12年度の研究実績 最終年度に当たる今年度は、昨年に引き続き「体験学習と精神世界の相関関係」に焦点を当てると共に、シュタイナー教育に関わる人々を調査する作業に従事した。 まず「実践教育活動・あぶらむの里」への調査を継続した。既に5年間に渡る継続的な参与観察の中で、「体験学習」に関わるスタッフの抱える様々な問題が明らかになりつつある。また「ボランティア活動参加者における精神世界(哲学・宗教)などへの関心」についても、昨年に引き続き聞き取り調査を行った。体験学習に参加する青年たちの精神的背景についての考察を深めないことには、ファシリテイターの資質だけを問題にしてもなんら生産的でないことが、あらためて確認された。 次に「シュタイナー教育」に関わる人々の調査を行った。具体的には、東京シュタイナーシューレを訪問観察し、あるいは、「日本アントロポゾフィー協会」「東京自由大学」「賢治の学校」など様々な機会に「シュタイナー思想」について講演する中で、シュタイナー教育に内在する体験学習の要素と、その教師の持つファシリテイター的役割について議論を深めた。その成果の一部は『シュタイナー教育入門』(子安美知子他と共編、Gakken、2000)、また、「シュタイナー教育の本質とシュタイナー学校の卒業生たち」(『日本のシュタイナー教育実践に学ぶ』所収、2001年出版予定)として公表された。
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