今年度の研究課題と作業は、(1)「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年7月)の成立に伴い改正された地方自治法並びに21本の関連教育法の改正内容とその意味を明らかにすること、(2)中教審答申から上記の改正を経て、平成12年4月からの新しい教育行政制度のスタートを控えて、地方教育委員会は、どのような課題を設定して具体的にいかなる対応や準備をととのえているのか、今後の新しい地方教育行政施策の問題は何か等を、幾つかの地方教育委員会の事例研究、ヒヤリングを通して検討した。 (1)については、研究業績の「分権改革と地方教育行政」(『教育』2000年1月号 通号648号)等を参照していただきたいが、今回の地方自治法と地教行法の改正は、当時の地方自治庁(現在の自治省)と文部省の対立に象徴されていた総合調整行政と個別専門行政との「確執」と当時の政治対立等を背景に成立した1956年地教行法が色濃く有していた地方自治法の「特別法」的性格を一掃し、教育行政の法制度と運用を地方自治法の一般ルールに組み込んだものであること、そのため、今後の地方教育行政の運営は、これまで以上に、地方行政の総合化・効率化の要請の中ですすめられていくことが強く要請されてくることになる等を明らかにした。(2)については、千葉県市川市教育委員会へのヒヤリング調査とアンケート調査を実施し、(1)で指摘したような地方行政下で、教育委員会事務局の政策・企画立案能力を高める諸施策をどう具体的にすすめているのかを調査研究した(その報告書は3月末日に完成予定)。
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