本年度は、本科研費研究課題(期間4年間)の3年目にあたるが、本年度の研究作業課題を以下のように設定した。 (1)教育改革に積極的に取り組んでいる幾つかの自治体調査(市川市、習志野市、川崎市、犬山市、高知市、など)を行い、特に教育行政の改革と具体的な施策の特徴を捉えることを通じて、今次の地方分権改革と教育行政改革を評価する視座と分析枠組みをつくる作業に取り組む (2)具体的には、戦後の教育行財政制度の構造・特質と地方教育政策過程に関する実証的研究の分析枠組みと課題を整理しながら、具体的な実証的研究に取り組む 具体的研究成果では、(1)については、成果の一部を11.研究発表の図書『分権改革と教育行政』や雑誌論文「分権改革と地方教育行政の課題」等に反映させている。戦後教育行財政制度の下でも教育政治の自治は存在したが、1956年地教行法や負担・補助金制度の整備等がそうした政治を教育行政執行内部に「内部化」「潜在化」させたこと、しかし、教育行政執行内部でも政策形成・決定のベクトルは国と地方の間で双方向的に作用していること、今日の教育行政改革を進めるためには教育行政執行内部に「内部化」「潜在化」している教育行政の政治を「外部化」「顕在化」することが求められており、その「起動力」の一つとして首長等の教育委員会へのリーダーシップが不可欠である、等を示した。(2)については、11.研究発表の雑誌論文「県教育委員会における『義務標準法』の運用と教職員配置の実情-ヒヤリング調査報告-」等によって成果の一部をまとまた。
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