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1999 年度 実績報告書

ドイツ近代社会の学区編成にともなう文化変容と社会的規律化の実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10610240
研究機関上越教育大学

研究代表者

増井 三夫  上越教育大学, 副学長 (30099387)

キーワード文化変容Akkulturation / 日常的生活規律Sitttenzucht / 自己規律Selbstdesziplinierung / 教区Kirchengemeinde / 信仰内面化Konfessionalisierung
研究概要

本年度は、昨年度に引き続いて、ドイツ近代の都市と農村社会が教区と学区に編成され、その住民が近代的な行政によって整序化される過程で、教会の規律化と学校教育が伝統的な文化の受容Akkulturation(住民の行動・思考・感情の変容)に果たした機能を解明する方法論と基本的な史料の整理に時間を費やした。
第1の作業は、この分野の研究をリードするHeinz SchillingのEmden教区の実証研究とHeinrich Richard SchimidtのStettlen教区とVechigen教区に関する大著をケースにして実施された。両者ともに、前年度に明らかにしたG.OestreichのSozialdesziplinierungに対して、教区内の独自な<信仰内面化 Konfessionalisierung>に基づく世俗的な次元における<日常的生活態度の規律化 Sitttenzucht>のケースを教区裁判記録を基に解析している。そのケースは教会規律、性的関係、結婚、隣人関係に及んでいる。さて、<日常的生活態度の規律化>の分析は<外的強制 Fremdzwang>から<自己規律 Selbstdeziplinierung>への転換の仕組みを読み解くことを意味するが、そこで注視されるべきは教区民の私的な生活空間が教区世間の視線と教会裁判所の規制-処罰の対象となっていたこととである。換言すると、<日常的生活態度の規律化>の過程における処罰(例えば2週間の内2回教会説教欠席者は2〜3日間の拘置)を<自己強制>への不可欠な方法とする前提に個人の<信仰内面化>を持ち込んでいることである。18世紀以降に表出する<信仰内面化>の解体は<日常的生活態度の規律化>に深刻な構造転換を必至化し、19世紀ではこの事態は社会現象化する。この現象下における自己規律化への変容仕組みを、以上の前近代におけ分析をモデルとして、新たに公教会規律-公学校規律を軸に、解析する手法の開拓が次ぎの課題となる。
第2の作業である史料の整理については、17世紀から19世紀前半期におけるInsterburg教区、Heiligenbeil教区及びWaltersdorf教区の査察報告について新たに邦訳を完了した。

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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