研究計画の第2年次目である本年度は、基本的に次の2点から研究を進めた。 第1は、文献研究により、個別の指導計画作成についての理論的検討を行ったことである。多くの養護学校の養護・訓練における個別の指導計画を、複数の教師が関与して作成している実態に着目し、その目的論を、保護者の説明責任、教師集団の自己教育力の向上、授業における授業ー学習活動の活性化の観点から整理した。さらに、個別の指導計画作成の方法論の構築に資する理論的な枠組みについて、集団意思決定の概念等から考究した。 第2は、個別の指導計画作成に関する方法論モデルの構築とその適用を想定して、地域の公立養護学校との共同研究を実施したことである。第1の研究で得られた知見に基づいた複数教師が関与した個別の指導計画作成の方法論モデルを考案し、事例的にその適用を試みた。緒についた研究であり、現在なお進行中であるため本研究の成果として提示することはできないが、個別の指導計画作成は不確実性の高い状況での集団意思決定であることに起因する課題(集団サイズや、タイムプレッシャの強い状況での効果的な作成など)を指摘することができた。 本年度は、基礎的研究から教育現場における応用研究へと発展させるために、当初の研究計画に若干の修正を加えることとなったが、個別の指導計画作成に関する基礎的研究としての成果を得たものと判断している。
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