平成11年度は1999年7月にブルネイ王国の調査を行い、ブルネイ大学、ブルネイ文部省、ブルネイ工科学院を訪問し、ブルネイの言語・価値教育についての専門家レビューと文献収集を行った。その中で学校で教えられる「マレー型イスラム王権(MIB)」と呼ばれる価値科目に着目し、その歴史、内容、目的、カリキュラム、教科書について分析を行った。ブータン王国については、別の科研により現地調査を行い、1999年度から新たに導入された「価値教育(values education)」科目についての導入背景、現状と内容について検討を加えた。また、平成10年に調査を行った中華人民共和国(北京市)の小学校の国語授業についてのビデオの書き起こしと整理を行い、研究分担者(田中)とともに授業分析を進め、「思想品徳」「思想政治」をはじめとする中国の価値科目の特徴について明らかにした。以上の「ブルネイの言語・価値教育政策」「ブータンの教育発展と価値教育」「中華人民共和国の徳育教育と授業実践」の3つの論文をまとめて、『アジア教育研究報告』の創刊号として科研実績報告書(2000)とし、3カ国の価値教育(科目)の共通点と相違点を整理し、教育後発効果との関係について考察を加えた。
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