本年度は大阪府老人大学受講者調査の実施・結果分析を行い、福井県鯖江市高年大学で以前の科学研究で行った調査結果との比較分析を行った。現在は教育系老人大学の例として西宮市老人大学の受講者調査を終え分析を行っているところである。これまでの分析から明らかになって点は以下の通りである。 1 1990年代以降、大都市部を中心に広域型の老人大学が増加してきた。これらは大きく教育系のものと福祉系のものとに分けられる。 2 広域型福祉系老人大学の例として大阪府老人大学の事例調査を実施し、地域密着型老人大学の事例としての福井県鯖江市老人大学のデータと比較したところ以下の点が示された。 1) いずれの老人大学も受講期間中に友人が多くできた者ほど、受講後の評価や獲得された知識などに対してポジティヴに回答していた。 2) 受講前の評価と受講後の評価との比較分析から判断して、大阪府老人大学は、高齢期における人間関係の再構築の場として機能しているといえる。 3) 鯖江市調査では受講のきっかけと受講後の評価との間に一定の関連がうかがわれたが、大阪府の場合それほど明確な関係はうかがわれなかった。このことは、後者が抽選による1年限りの受講機会であることと関連があると思われる。
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