本研究では、国家を超越した人材を育成するためにはどのような環境を設定すればよいかということについて考察した。そのためにまず、チューター制度に関する実態と教育的効果に関する調査を行った。その結果、留学生との接触頻度がチューターの教育的効果に大きく影響を与えていることがわかった。次に阪神淡路大震災で被災した外国人留学生を教育援助者の立場から物理的、心理的な両側面から調査すると同時に、そのダメージと支援との関係についても調査した。その結果、適当な支援環境が整っていれば、深刻なダメージがあっても心理的に癒されるということがわかった。そればかりか「危機は人を育てる」ということさえも言えるということが分かった。 また、キャンパスフォーラムを2度にわたって開催し、研究討論をして、多くの学生と共に国際社会で活躍するための資質について協議した。 その他、「障害をもつ外国人留学生の受入れ環境の整備に関する研究」に関して兵庫県立福祉の街づくり工学研究所で内地研究(1999年6月15日〜9月14日)を実施し、そこで「障害をもつ学生の受入れ」に関して調査を行った。また、アメリカカンザスシティで開催された障害をもつ学生の大学への受入れに関する国際会議(AHEAD2000)に出席し、多くの知見を得、また同時に啓発教育の重要性についても再確認をした。 以上のことから、国家を超越した人材育成のための支援ネットワークモデルを異文化間教育学会や『阪神淡路大震災と被災外国人学生の支援とこころのケア』の第IV章「教育的援助者からの提言」にまとめ、発表した。
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