本年度の研究実績は、以下の通りである。 1.学術論文「幼児の頭足人的表現形式の理論的説明における主知的見解とG.H.Luquetの描画発達説」の複数審査制全国的学会誌への掲載…有力な描画発達理論あるG.H.Luquet(1927)の学説は、幼児の描く頭足人的表現形式にも及んでいる。その理論を批判的に考察した。 2.学術論文「幼児の頭足人的表現形式に関するH.Engの主知説批判」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児の描画活動の縦断的事例研究者であり描画心理学の創設者でもあるH.Eng(1927)は、幼児の描く頭足人的表現形式について考察している。その理論を批判的に考察した。 3.学術論文「幼児の初期人物描画の理論的説明における主知的見解への批判」の複数審査制全国的学会誌への掲載…本論では、L.S.Vygotsky(1930)、V.Lowenfeld(1947)、W.Grozinger(1952)、W.L.Brittain(1979)などの研究を取り上げ、主知説による頭足人的表現形式の説明を再吟味した。 4.学術論文「幼児の人物画研究における用語問題」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児の初期人物描画と頭足人的表現形式に関する学術用語は、各研究者によって使い方が違い、不統一である。本論では、先行研究を概観・整理し、新しい学術用語を提起した。 5.学術論文「保育者の専門性としての造形理解と幼年造形教育学の構築」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児期の造形教育及び研究法としての実践的研究の独自性、独立性を強調し、保育実践に対応した教育方法による幼年造形の専門家教育の可能性を示した。 6.学術論文「幼児の人物描画における発達的変化と頭足人的表現形式の変異性」の審査制学術雑誌への掲載…幼児が自発的に描く人物描画に関して、観察対象児のデータ収集とその分析を中心に考察した。縦断的事例研究は、先行研究の中にも数例しかなく、稀少な研究成果である。
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