今年度の研究では、まず第1に、小・中学生を対象にして「いじめ・不登校問題」を中心に質問紙調査を実施した。この調査は、いじめ・不登校の実際の発生状況を把握するとともに、この問題に対する子どもたちの意識、教師の対応、それによる実際的な効果といったものを調査した。また、あわせて最近の「学級崩壊」と呼ばれる現象の実態、非行・問題行動の発生状況、そして子どもたちの規範意識についても質問項目として設定した。これは、いまの子どもたちの問題状況は、たんにいじめ・不登校だけにとどまるものではなく、さまざまな問題行動と密接に結びついていると考えたからである。事実、こうしたいくつかの問題状況は、かなり密接に結びついていると同時に、いわゆる「荒れた」学級ではいくつかの問題行動が重複的に生じていることも明らかになった。調査は、1999(平成11)年10〜12月に福岡県の小・中学校で実施したが、現在大阪を中心に関西地区でも実施しており、地域的な比較も行なうつもりである。 また、第2に、同様の調査を、小・中学校の教師を対象に実施することを予定しており、現在質問紙の作成をほぼ完了したところである。この調査は、福岡県、大阪府の小・中学校教師を対象にして郵送法で実施する予定である。実施時期は、この春休みを考えている。調査内容は、主としていじめ・不登校、そして学級崩壊、より広範な非行・問題行動に対して教師一人ひとりがどんな取り組みをしているのか、これに関する教師集団の連携がいかにとれているのかといったことである。なお、いじめ・不登校に対する学校としての取り組みや学校経営に関する実態については、昨年度から継続してインタビュー調査を実施している。 来年度は、こうした一連の調査研究を通じて明らかになった事実を整理するとともに、いじめ・不登校に対する学校としてのよりよい取り組み、学校経営のありかたを探っていく予定である。
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