いじめ・不登校問題に対するそれぞれの学校(小・中)の取り組みに関して、これまで質問紙調査、およびインタビュー調査をつうじて継続的に研究を行なってきた。これによると、こうした問題に対して全校的な取り組みをしている学校では、明らかに一定の成果が出ていることが認められた。なかでも、とくにこれに関する教師集団の協力体制や役割分担が明確化されている学校では、より明らかな成果が上がっている。そして、こうした教師の協力体制や役割分担に関して、校長・教頭といった管理職のリーダーシップ能力が大きなファクターであることも明らかになった。 しかし、全体的にみるかぎり、いじめ・不登校問題に関していまだ抜本的な解決には程遠い状況もある。今年度は、主として教師を対象にして質問紙調査を実施し、主として教師の立場からいじめ・不登校に対する取り組みの実態、教師集団の協力体制に関する実態、そしてこれをより有効に実現していくための方法や阻害要因について検討を行なった。 この結果によると、いじめ・不登校問題について、いまだ担任教師が単独で対応するということがかなり多く、学校全体の問題として教師集団が協力体制をとるといった対応はまだまだ少ない。これに加えて、この種の問題解決の方法として、地域や家庭との連携といったことに積極的な教師はかなり少数である。こうした背景には、教師の多忙性や、教師自身が自分のクラスに閉じこもりがちな傾向が強いといった状況がみられるが、これに関する問題状況は少なくない。なかでも、これまでの調査研究で明らかになった事実として、子どもたちの「荒れ」がいじめ・不登校にとどまることなく、ますます多様化しているということがある。最近の学級の「荒れ」現象はその1つのパターンである。そうした状況をみても、子どもたちの問題行動に対して、学校全体で取り組むという姿勢は当然のことであり、そこから地域や家庭、さらには地域のさまざまな機関との連携が必要不可欠である。
|