研究課題/領域番号 |
10610271
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
黒崎 勲 東京都立大学, 人文学部, 教授 (70012573)
|
研究分担者 |
深見 匡 東京都立大学, 人文学部, 助手 (00295461)
越野 章史 東京都立大学, 人文学部, 助手 (90295460)
|
キーワード | 学校選択 / 公立学校 / 教育改革 / 市場原理 / 民営化 / 通学区域 / イギリス / 公教育 |
研究概要 |
実態分析としては、昨年度調査対象とした諸地域についての継続調査を進めるとともに、品川区教育委員会における公立学校制度への学校選択制度の導入の動向を検討した。新規に学校選択制度の導入を試みる事例についての研究においては、政策立案・審議過程における学校選択制度の理解および改革理念としての有効性の認識をめぐる理論問題を考察の中心的な対象とした。ここでは、学校選択制度の有効性についての理解には現状をどらスティックに改革するものとの一面化があり、いわゆる「市場原理」の機能についても、過度の単純化なされている。学校選択制度が持ちうる学校改革の原動力としての意義を多面的に考察するとの視点に欠けるというのが結論である。継続調査となる事例については、学校選択制度の実際の機能および学校教育活動に与える質的な影響をめぐって考察を深めた。 連合王国の教育社会学者による研究レヴューについては、教育の市場化、民営化の影響についてのイングランドおよびウェールズの実態調査の分析を踏まえた助言を得ることができた。イギリスにおいてはいちはやく学校選択制度が公立学校制度に導入されており、そこには多くの実証研究の蓄積がある。これについての相互の比較、分析を課題とした。ここでは、学校選択制度の効果として批判の対象とされることの多い学校の階層化の問題が、必ずしも市場化の効果ではなく、イギリスにおける教育・文化の歴史的構造から導き出されているものであるとの最新の事例研究から学ぶものが多かった。
|