申請において示した本年度の研究計画は資料収集を別にすると、今世紀を1952年革命以前と以後に分けて、それぞれの制度的・法的展開と量的拡大、特徴や問題等を明らかにすること、およびエジプトにおける近代教育の展開の中で大きな役割を果たした外国人によって運営された学校、いわゆる外国学校について、その歴史的展開と拡大、エジプト社会への影響を明らかにするというものであったが、実際の研究は資料の入手に左右されたので次のような実績となった。外国学校に関しては、科研申請前から資料を集めはじめていたこと、欧米宣教団、特にプロテスタント宣教団に関する資料の入手の容易さや、後述の革命前資料の相対的豊富さにより、19世紀中頃から革命前までのその展開、拡大、影響などについてかなり総合的な研究を行うことができたので、その成果を論文、学会発表として公表した。(別記)エジプト人による近代教育に関しては、革命前についての資料の収集は、一次資料も含めてBLDSC、NY Public Library、Library of Congress等に所蔵されているものがあり、また著作権にも間題がないので、その入手は比較的順調に進んでいる。これまでにそれらのほとんどに目を通し終わったが、現在どのような形でプレゼンテーションをすべきかを試行錯誤している状況にある。革命後の教育に関する資料は統計以外の一次資料は、わが国からの入手は現時点では不可能であり、先行研究も英仏語のものは入手できたが、アラビア語のものは欧米図書館で所蔵を確認できるものもあるが、著作権故に入手は遅々としてしか進んでいない。現地への注文はすでにしてあるので、今後に期待している。統計資料が予定より早くそろってきたので、申請では平成11年度以降に計画していた数量的分析にも着手したが、時期ごとに統計の表示の仕方が違うので整理の仕方を考慮中である。
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