戦後沖縄の社会教育史に関する研究は、10年前の「民衆と社会教育」(小林文人他編、エイデル研究所)によって、ほヾその全貌が明らかにされている。しかし、宮古・八重山を含む地域史的な差異を実證的に明らかにしなければ、その実像をとらえることにはならない。本研究では、旧琉球政府、アメリカ民政府(USCAR)等の全沖縄レベルの社会教育関連資料の資料収集を補足的に継続するとともに、沖縄本島のうち、とくに北部(やんばる)地区・辺野古等の集落、ならびに八重山諸島のうち与那国町の三集落について、インテンシィブな地域実態調査を開始し、資料収集中である。 あわせて各関連自治体の図書館、沖縄県公文書館、沖縄県立図書館等において、沖縄地域史資料とともに、旧琉球政府及びUSCAR資料の目録(とくに社会教育・文化を中心に)を作成中である。 集落調査は、集落史、地域組織、祭紀慣行、住民自治組織などとともに、集落の教育・形成的機能を明らかにしていくために子ども会活動、教育隣組、青年集団、とりわけ集落公民館の活動実態について焦点をしぼり、現在進行中である。 1999年度に向けて、各集落調査の記録及び理論的仮説を中心に報告書「沖縄社会教育の地域史研究」(第1集)を作成した。あわせて、TOAFAEC(東京・沖縄・東アジア社会教育研究会)編『東アジア社会教育研究』第3号(1998年、和光大学)に与那国調査記録を掲載した。
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