現在、英国にある私立学校(独立学校)は約2300校を数え、義務教育段階の児童・生徒の約8%に教育機会を提供している。しかし就学年齢と修業年限、学校規模、授業料などの面から見ると、その実態は多様を極めている。 これに対し、米国の私立学校は学校数で約25%、児童・生徒数で約8%を収容している。そのうち約75%がカトリックないしはその他の宗教的背景をもっている。 両国とも、私立学校にたいして公的補助金は支出されていない。そのため公的な監督を受けることはないが、しかしそれは私立学校があらゆるものの干渉を排除して、独立独歩の経営を行っていることを意味するものではない。例えば英国の場合、学校組織や校長、財務担当者などの全国組織があり、これが私学全体の評価と威信を確保するため、経営に関するガイドラインを設け、また個別の学校からの要請に応えて指導助言を行っている。同時に円滑な私学経営と校長等の能力の開発のために、全国組織が研修機会を提供していることも注目に値する。その意味で、私学は公権力からは独立しているものの、同業組織に大きく依拠している実態が明らかになった。 今後は、私立学校が公的補助金を受けないで運営できる財政的な背景を検討する必要がある。
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