研究概要 |
本年度研究計画に従って研究を進め、次のような知見を得た。 1.渡辺崋山旧蔵『輿地誌略』、Volkomen Geographie、Algemeen Geographieの西洋教育情報の分析 基本的な事柄は「青地林宗訳述『輿奥地誌略』の西洋教育情報」としてまとめた(平成10年度研究実績として報告済み)が、なお若干の新知見を得たので、何らかの形で補うことを検討している。 2.箕作院甫の「後発国としてのロシアの教育情報」の分析 基礎作業として、19世紀前期・中期におけるロシアの教育事情を明らかにしている。またその一方、『八紘通誌』をはじめとする箕作院甫の著述の中から、ロシアの教育情報を収集している。これらの結果を基に分析をすすめており、「箕作院甫のロシア教育情報受容の特質」という題で論文を構想している。 3.アメリカ合衆国の教育情報の分析 アメリカ合衆国関係の地理書を蒐集し、それらの中から教育情報を収集・分析する作業を進めている。それは「幕末期アメリカ合衆国教育情報の分析(仮題)」としてまとめるつもりである。 ○ 幕末期に翻訳された西洋地理書に含まれる西洋教育情報の収集・分析を進める中で、杉田玄端訳『地学正宗』には豊富な西洋教育情報があることが分かった。そこで、『地学正宗』の西洋教育情報を、その原著であるPrinsen,P.J.,Geographische Oefeningen.と逐一対照しながら、分析した。そして、その結果を「杉田玄端訳『地学正宗』の西洋教育情報」という題で論文にまとめた。
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