研究課題/領域番号 |
10610287
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
濱名 篤 関西国際大学, 経営学部, 教授 (90198812)
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研究分担者 |
佐藤 広志 大学入試センター, 研究開発部, 助手 (50253125)
西道 実 関西国際大学短期大学部, コミュニケーション学科, 助教授 (50280110)
広沢 俊宗 関西国際大学, 経営学部, 助教授 (70228831)
濱名 陽子 関西国際大学短期大学部, コミュニケーション学科, 教授 (60164919)
菊池 城司 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00027963)
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キーワード | ユニバーサル化 / 高等教育 / 魅力 / モラトリアム / 受験産業 / 受験雑誌 / 進学理由 / 入試 |
研究概要 |
受験産業調査班は予備校、模擬試験、受験雑誌発行などの受験産業6社の受験情報編集責任者に対するインタビュー調査を実施した(10年7月〜9月)。主な知見は以下の通りである。 入試を巡る社会システムの中で、受験産業が現在果たしている機能としては、(1)入試情報の収集整理(2)学習支援(3)進路指導支援(4)進路決定支援(5)大学広報代行(6)受験生の啓蒙などがある。こうした機能に加えより広い社会的文脈の中で、受験産業は大学の“魅力の創出・伝達"及び“市場の開発"という機能をも果たしている。 18歳人口減少によるユニバーサル化の進展と早期選抜の加速化による受験体制の変化の中で、受験産業の多くは、“偏差値"によってのみ大学の魅力を測定する従来の尺度が転換期に差しかかっていると認識している。大学の魅力に関する新たな評価基準としては、、受験生が将来就きたいと考える職業にとって必要な能力が何であるか→その能力を身につけるのに適切な学問領域は何か→その学問を学べる学部・学科はどこか、といった将来の進路から逆に遡及して進路をナビゲートするアプローチから測定されていると考えられる。その結果、一定の偏差値以上の大学を除き、大学の教育内容・方法に関する情報が以前より魅力を測るうえでウェイトが高まりつつある。 学生インタビュー班は、私立大学社会科学系学部1・3年在学者3グループ計18名を対象に大阪市内のスタジオを会場において、(1)大学選択の理由(2)在学中の大学の魅力に対する具体的事象(3)理想の大学のもつ魅力事象についてグループインタビューを実施した。 その結果、大学進学への明確な目的意識の欠落、4年間という時間に対するモラトリアム的意識、「大卒」という“学歴"への自尊感情などが確認され、、学生達が大学に対し、、パブリックな学習空間としてよりも、むしろプライベートなネットワーク上にある多重帰属先のひとつとして認知する傾向が強いのではないかという仮説を発見した。
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