1.1992年を境に18歳人口は急増から急減に転じわが国の大学進学率は50%に近づいた。受験競争の緩和による現役入学者の増加は受験浪人の減少を招き、大学予備校は従来浪人受験生に向けていたターゲットを現役高校生に転換させている。彼らが現在経営面で重視しているのは高校生のための補習、進路ガイダンスなどである。進路分化の早期化が進んでいるため、コース選択に失敗する生徒も少なくない。大学予備校はこうした生徒を救済する有力な機会ともなっている。 2.大学受験予備校の大半は大都市に集中している。受験教育にかけては高校以上にプロであることから予備校の有無によって地域の高校が被る影響も異なる。いわゆる「ゆとり教育」が高校教育へ導入されてから、教育課程の自由度は大幅に高められたが、その結果、地方の高校では受験シフトが強まり、むしろ大都市に立地する高校で過度の受験シフトは少ない。これは高校と予備校の間の一種の"役割分担"によるものと推察される。 3.職業資格予備校を含む専門(専修)学校は1976年に創設され四半世紀の間にめざましい発展を遂げた。第1期(1976〜85)は専門学校の離陸期。この時期、大都市での大学設置が高等教育計画により抑制されていたため、専門学校は都会で勉強したい若者たちの受け皿となった。第2期(1986〜92)は専門学校の発展期。18歳人口の急増期と重なり、大学・短大に収容しきれなかった若者たちを専門学校は積極的に受け入れた。コンピュータやビジネス(経営学)、社会福祉学科などの盛況は、専門学校がまさに大学教育の補完として働いたことの証左でもある。第3期(1993〜現在)は18歳人口の急減期と重なる。大学の収容力の過剰が危惧される時代になり、専門学校も試練の時期を迎えたが、専門学校に本来の職業資格取得、職業技能教育に重点を置き、人口急減による学生減を最小限にくい止めた。
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