研究課題/領域番号 |
10610296
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研究機関 | 国立特殊教育総合研究所 |
研究代表者 |
緒方 茂樹 国立特殊教育総合研究所, 情緒障害教育研究部, 主任研究官 (30261184)
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研究分担者 |
渥美 義賢 国立特殊教育総合研究所, 情緒障害教育研究部, 部長 (90143552)
寺崎 裕志 国立特殊教育総合研究所, 情緒障害教育研究部, 室長 (60290889)
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キーワード | 音楽 / 障害児教育 / 脳波 / 生理心理学 / ホワイトノイズ |
研究概要 |
音楽を用いた療育や教育的な指導などを科学的に計画し、さらに教育効果についても科学的に評価するためには、音楽が人間に及ぼす効果や影響について客観的に知る事が不可欠である。本研究ではまず、音楽鑑賞の場面において脳波、心電図、皮膚電気反射などの生理学的指標を用いた実験的検討を行うために、本年度は「音楽条件」で呈示する楽曲と直接的な比較が可能な「対照刺激」として、音楽のもつ時間的な音圧レベルの変動と同一の音圧変動をもたせたホワイトノイズ(変調雑音)の作成を試みた。過去に行ったアナログ回路を用いたものではダイナミックレンジが狭くなる問題があったことから、今回はデジタル処理を行って作成し、昨年末に元になる楽曲と同一の変調雑音の出力させることに成功した。これは楽曲がもつ音圧変動をシミュレートしたホワイトノイズであり、音楽と類似しながらも、ほとんど「無意味」な対照刺激である。今後、実験的検討を行う中でこの両者の異同を検討することによって、「音楽」という非言語的媒体が人間の情緒面や身体面に対して与える効果や影響について客観的に明らかにすることができる。 また、障害児教育の現場で音楽をより有効に活用するために、実践的な研究を文献的に検討しデータベース化をはかっている。500余りある資料のうち、現在300余りの実践的な取り組みの報告書を収集することができており、データベースを修正しながら比較検討を試みている。今後はさらに、実際に実践的な取り組みを行っている複数の養護学校に赴き、実践にあたってのねらいや教育方法を客観的に評価することで明確化し、課題や医療的配慮についても資料を収集する。これらの資料を収集することで、音楽を活用したより効果的な教育プログラムについて検討する。
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