本研究は、1970年代後半より定住してきた在日ベトナム人の家族に関する文化人類学的調査を通じて、祖国ベトナムを含む海外に居住する分散家族とのトランスナショナルなネットワークの実態を把握することがねらいである。本年度は、関東および関西地区に居住する在日ベトナム人へのインタビュー調査、および、彼らのコミュニティ活動への参与観察を行った。特に、ネットワークの上で重要な社会的機能を持つと考えられる宗教的ネットワークについて研究調査を行った。その結果、カトリック教徒共同体と仏教徒教会の実態が明らかになるとともに、ベトナム人家族と宗教施設のかかわり、また宗教儀礼を通じて見られる多国間の家族の交流が明らかになった。収集されたデータは、購入したパーソナル・コンピュータで処理され、保存された。さらに、成果の一部は、オーストラリアのシドニーで開催されたオーストラリア・アジア研究学会(ニュー・サウス・ウェールズ大学:1998年9月28日〜10月1日)で発表した。また、本年度の科学研究費による研究報告書として以下の報告書を作成し、発表した。 Ikuo Kawakami(1998)“Families Crossing Borders:Religion and Vietnamese Settlement in Japan"Miyagi University of Education.
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