研究課題/領域番号 |
10610302
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
重田 眞義 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (80215962)
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研究分担者 |
太田 至 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (60191938)
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キーワード | アフリカ地域 / 開発援助 / 人類学 / 内発的発展 / 在来知識 / 農耕民・牧畜民 / ケニア / エチオピア |
研究概要 |
開発援助計画の失敗は、、当該杜会への無理解に起因するという素朴で根強い考えがある。その反省として、被援助社会にとってふさわしい開発援助計画の立案と実行に人類学的研究の成果が役に立つという主張がある。アフリカの農業・牧畜を生業とする地域においても、長期にわたって現地に滞在し、言葉を理解し、彼らの社会と深く関わってきた人類学者のもたらす知見が、「開発」を旨とする援助実施者にとって一定の有用な情報を提供すると期待される場合がある。これまで「開発」に関連した日本人による人類学的研究の大半は、開発の是非に対する発言、開発と文化の関わり、あるいは開発現象の研究などに限られてきた。人類学者は、開発計画の当事者として計画実行に関わることは少なく、「開発」と一定の距離をおいた関係を保ってきた。本研究の代表者と分担者は、以上のような認識と反省の上に立ってそれぞれエチオピア西南部のアリ地域及びケニア北部のトゥルカナ地域において、長年にわたって人類学的調査をおこなってきた。 最終年度にあたる本年は、当該地域における農耕民と牧畜民を対象とした開発援助計画に関連した資料を集積した。そのうえで、それぞれの開発援助計画において在来知識が実際の開発行為に適用されていたか、あるいはその可能性があったかどうかを評価しながら、内発的発展の要素を抽出し、記載をおこなった。また、アフリカ地域における開発援助計画に対する人類学的研究成果の応用に関する資料の集成をおこなった。この資料は、今後も継続して充実をはかり様々なかたちでアフリカ地域における「開発」に取り組む人々がアフリカ独自の視点を生かした成果を積み重ねるための一助となることをめざしていく。
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