研究課題/領域番号 |
10610305
|
研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
ヘンリ スチュアート 昭和女子大学, 文学部, 教授 (50187788)
|
研究分担者 |
斎藤 玲子 北海道立北方民族博物館, 学芸員
佐々木 亨 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (80292308)
|
キーワード | 植民地主義 / 北海道 / 先住民族 / 教育 / 観光 / 博物館 |
研究概要 |
本研究は、先住民族としてのアイヌと国家の関係をグローバルな視点から考察し、比較研究のための基礎的資料を作成するという課題に向けて、主に3つの側面を検討し、基礎的なデータの集積と分析を行なった。すなわち、1)教育の間題、2)植民地論、3)アイヌ自身の民族意識およびその戦略的側面の3つである。 第1の教育の問題については、中学校と高等学校で用いられている社会科教科書、および北海道内の小学校で用いられている社会科副読本のなかから、アイヌに関する記述の実態を調査して、その成果をデータベース化した。第2の植民地論については、とくに「北海道が植民地であると定義しうるか否か」という問題をめぐって、いわゆる「内国植民地論」に検討を加え、北海道が日本国家の版図に組み入れられる過程と諸外国の植民地統治との比較研究に着手した。また、第3のアイヌ自身の民族意識およびその戦略的側面については、平取町、阿寒町などにおいて現地調査を継続的に行なうことを通じて、観光活動、博物館活勤、社会・政治運動など多様な角度からのアプローチを試み、データの収集につとめた。 上記の3つの側面からの予備考察では、アイヌ民族および北海道は、アジアのほかの諸国における「先住民族」(少数民族)とは異なった特質のあることがうかび上がっており、かつまたイギリスの旧植民地との間にいくつの共通した特徴があると推測される。そうした推測の当否をめぐる研究を次年度に行なう。
|