本研究は山形県遊佐町の鳥海山吹浦地区に残る、今まで未解決だった鳥海山修験と宗徒の宗教生活、宗教活動とその組織の実態、位階を受けるための儀礼のプロセス、修験道と神道の関わり、地域の人々の記憶に残る伝承などを探り、地域社会での位置付けと周辺地域に及ぼした文化的影響力の解明を目指すものである。 そのために本年度は、鳥海山大物忌神社吹浦口の宮を中心として、文書の収集作業、そしてそれに伴う聞き書きを行った。その結果、神社に残る資料が膨大であり、本年度だけでは収集作業を終えることができなかった。それゆえ次年度も引き続き作業を継続して行う。なお今までに収集し終えた資料は、現在整理中であり、順次まとめてゆきたい。 また近世期に「吹浦二五坊、社家三家、巫女家一家」と総称されていた、吹浦神宮寺に所属していた宗徒の家々の資料収集のための予備調査も開始した。これについては次年度に収集作業が開始できるめどが立った。 さらに地元吹浦だけではなく、周辺地域との関連も見えてきた。これはまだ予備調査の段階なので、詳しくは次年度の活動になる予定である。 本年度は研究の開始が遅かったために実際の儀礼の調査ができず、資料収集に終始した。そのため次年度は地域の儀礼の調査を行ってゆくことにしたい。
|