研究概要 |
本年度においては、以下のように作業を進め、当初予定した年度計画をほぼ達成した。 (1)既収集史資料の整理、第二次史料・先行研究の収集と分析:1998年・1999年に収集した史資料の整理・分析を行った。18世紀にノースカロライナ州に移住したモラヴィア教徒の医療実践に関する史料Finan,Medical Practices & Diseases among the 18th century North Carolina Moraviansを焼き付け、分析した。また、モラヴィア教徒の医療実践とアメリカ南部の治療伝統や食文化との関連を考慮するため、Crellin,J.K.,Plain Southern Eatingを取り寄せて焼き付け分析に着手した。さらに基礎資料として、アメリカの食文化に関する二つの先行研究、Gabaccia,Donna R,We are What We Eat:Ethnic Food and the Making of AmericansおよびCounihan,C.and Van Esterik,P.,Food and Oultureを取り寄せた。 (2)ハーブ・ガーデンおよびハーブ治療の歴史的伝統の発掘:British LibraryやLibrary of Congress等の蔵書目録データ・ベースを検索することにより、ハーブ・ガーデンおよびハーブ治療に関する著作リストの作成を18・19世紀を中心に進めた。その結果、18世紀から19世紀にかけてモラヴィア教徒の共同体村オールド・セーラムで医療に携わったSamuel B.Vierling医療の治療実践(ハーブガーデンの耕作指導を含む)に関するノートの存在が判明し、これを取り寄せて焼き付けた。19世紀以来アメリカ合衆国南部の人々の治療指針として大きな影響を与え、Vierling医師にも参照された植物治療マニュアル、Gunn's New Family Physician(1864)およびBuchan,Domestic Medicineの分析も進めている。ノースカロライナ大学のSouthern Collectionより、医療の法的規制に関する資料を収集し、内容の抜粋を作成中である。 (3)1998年にエール大学のジョン・ウォルナー教授(医学社会史・医療人類学担当)より、本研究の進行に関するレヴューを受けたさい、さらなるレヴューの有益性を示され、南部医療史の専門家として、ノース・カロライナ大学のキース・ウェイルー医学史教授を紹介していただいた。1999年度は史資料の収集・分析に集中し、レヴューを受ける際の質問項目等を整理した。
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