3年計画の3年次である今年度は、武井正弘・伊藤善夫・桜井弘人氏の協力を得て史料の補助調査を実施し、翻刻・註釈・解題・版下作成を完成させた。現地調査の締めくくりとして豊根村下黒川・山内、および東栄町古戸の花祭り調査をおこない、下記のような内容の報告書を刊行。 第I部 論考 1 民俗芸能にみる祈願の形-花祭りの疫神駆逐祈願を中心に- 2 花祭りの鬼-成立過程に関する研究- 3 霜月神楽にみる翁猿楽の影響-花祭りの「しずめ」を中心に- 第II部 参考史料(翻刻・解題・註釈=武井正弘) 1 花太夫祭文集(御園) 2 金山祭文・金山拝詞・天津祝詞(御園) 3 大土公神経・土公神法大事護身法〆(御園) 宝数え(大入) 疫神駆逐祈願は、式年祭としての大神楽・個人の勧請祭・地域村落の氏神祭りとしての花祭りにおける最も重要な祈願内容であり、鬼は花祭りを代表する土地神である。また、現行花祭りに継承された「しずめ」は、大神楽において土公神祭と並行して行われ、祭文の一部に翁猿楽と同様の「宝数え」がみられる。
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