まず『公卿補任』のデータを入力するに当たってどのようなデータ構造が、もっとも効率よく、また利用に最適かを検討した。その結果、データを(1)公卿データ、(2)補任データ、(3)叙位データ、(4)事項データの4つのファイルに分けて入力し、この4者が独立し、かつ適宜連結できるようにするのがもっともよいと結論し、それぞれの構造(フィールド)を決定した。4つのファイルに分けたのは、たとえば、一人の公卿に補任から叙位まであらゆるデータを集めてファイルを作った場合、個人データとしては生かせても、官職や位階ごとのデータを作ることが困難だからである。したがって、(1)公卿ファイルには、生年・没年・父母などの基本データを入力、(2)(3)の補任・叙位には個々の補任・叙位データのみを入力、(4)事項データには、その他の事項を入力することとし、その間を個人を特定する公卿コードでつなぐのである。 また、作業の過程で、現行の『公卿補任』は長年にわたって書き継がれているため、時代によって表記法が異なっており、入力作業の前段階として、入力すべき内容の整理が必要になった。『公卿補任』データベースとしては、『公卿補任』の本文そのままではなく、その解釈を入れないとデータにはならないことがわかったので、本文そのままのデータベースは諦め、データ本位としての『公卿補任』の構築を目指すこととした。 今年度は、この方針に従って、機器とデータの基礎とする書籍をを購入、対象公卿を平安時代に限定し、延暦元年(782)から寿永2年(1183)までとして、(1)公卿ファイルを一応すべて入力(511データ)、特定のための公卿コードを決定した上で、(2)補任データの一部の入力を開始した(2972データ)。またこの作業の補助として、年号ファイルとそれをもとにした年号西暦変換プログラムを完成させ、入力作業に活用した。
|