1、 但馬国府の所在地と移転問題に関する研究史の整理 (1) 関連文献の収集 奈良国立文化財研究所図書資料室のみならず、京都大学図書館、出石町・日高町など関係機関の協力を得て、従来の研究文献の複写はほぼ収集しえた。 (2) 研究史の検討 研究文献の内容を現在検討中であるが、ほとんどの論文が発掘調査が行われる以前のものであるため、地名や地形などの歴史地理的な分析が中心となっている。その成果も勿論参考としなければならないが、近年の発掘成果をふまえ、新たな資料を取り込んで、再考すべきことを痛感している。 2、 但馬地方の調査担当者との協議 平成10年9月に、出石町と日高町の教育委員会を訪ね、但馬国府の所在地についての問題点について、討議する機会を得て、問題点の提示を行うとともに、最近の発掘成果について教示を受けた。また、国府の比定地を訪れることによって、その地形を検討することが出来たのも成果の一つである。 3、 関係する木簡の調査 今年度は、袴狭遺跡(出石町)と祢布ケ森遺跡(日高町)および但馬国分寺跡(同)から出土した木簡の調査を実施した。特に袴狭遺跡分では、発見されたばかりの木簡を調査し、釈文を作成することができた。その成果は木簡学会「木簡研究」21号に掲載予定である。また、但馬国分寺跡の木簡については、保存処理が済んでおり、報告書作成時よりも文字が鮮明となったものがあり、報告書の釈文を一部訂正できると考えている。 上記3遺跡以外の木簡については、次年度以降も調査を継続し、釈文集成を目指したい。
|