研究概要 |
本研究は、清末の上海で刊行された絵入り旬刊紙『点石斎画報』の基礎的なデータを整えることを目的にしたものである。『点石斎画報』は、貴重な資料であることは知られていたが、従来、ほとんど利用されなかった。それは、東洋文庫や東京大学東洋文化研究所など一部の機関にしか所蔵されたいなかったからである。しかし、最近、中華人民共和国から影印本が出版されて、容易に利用できるようになった。ただ、その影印本は、重刊本に拠っており、十干十二支等に拠る分類で、原刊本の号数や刊行月・旬が抜けている。これは、時事問題等をあつかった画報としては、致命的である。そのため、本研究では,原刊本に当たって,それらのデータを補うことを第一目標にする。平成10年度は、我が国の公共機関に於ける『点石斎画報』の原本の所在の確認からはじめた。まず、東洋文庫と東京大学東洋文化研究所所蔵の『点石斎画報』の調査を行った。その結果、東洋文庫には、原本は僅かしか所蔵されていないことが解った。しかし、東京大学東洋文化研究所には、完全ではないがかなり纏まった原本および原本を合訂したものが所蔵されていることが判明した。次に、関西大学の増田渉文庫所蔵本を調査した。ただ、増田旧蔵本は、原刊本の表紙を剥がして合訂したもので、号数や旬などのデータは欠けておりあまり利用出来ないことが解った。もっとも、増田渉氏が生前に引用した号数の記載のあるものは、見あたらなかった。今後、その所在を確かめる必要がある。 以上、本年度は、主として『点石斎画報』の原刊本の所在確認を行った。次年度は、今年度得たデータをもとに、台湾の天一閣書店本などのデータも取り入れ、データベース上で、整理を行い、最終年度に印刷したいと思う。また、『点石斎画報』の内容分析も行いたい。
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