本研究は、清末の上海で発行された絵入りの旬刊紙『点石斎画報』の基礎的データーを整理することを目的としたものである。『点石斎画報』は貴重な史料であることは知られていたが、従来、ほとんど本格的な研究は行われてこなかった。それは、我が国には、『点石斎画報』の揃いが存在しなかったからである。しかし、1983年6月、広東人民出版社から、影印本が出版され、ようやく、広く利用が可能になった。ただ、この広東人民出版社本は、十干十二支等の分類による重印本を底本にしており、原本によってはいない。原本との大きな違いは、刊行の年月旬や号数が欠けていることである。この点は、時事問題も多数掲載されている画報としては、致命的な欠陥である。また、広東人民出版社本の各册巻頭の目録は、疎漏も多くほとんど利用に堪えない。そこで、本研究では、飛び飛びに各図書館に所蔵されている原本を調査して発行年月旬・号数等のデーターを補い、見やすく正確な目録を作成して、広東人民出版社本の利用価値を高めることを目的にした。 初年度・平成10年度は、まず『点石斎画報』の原本の所在調査を行い、東京大学東洋文化研究所・東洋文庫・関西大学増田文庫等の原本を調査した。関西大学本は、表紙が破がしてあり利用に堪えなかったが、東洋文化本や東洋文化本は、原本も相当含まれており、貴重であることが判明した。 第2年度・平成11年度は、前年度に引き続き、東洋文化研究所本と東洋文庫本を調査すると共に、東京都立図書館実藤文庫所蔵本を調査した。これらの調査により、十干の己(つちのと)の部分が、十二支の巳(み)の部分に誤って綴じられている等の広東人民出版社本のミスが多数発見出来た。 第3年度・平成12年度は、前2年間に集めたデーターをもとに、記号番号・葉数・題名・巻数・絵師名・所在機関名・備考を記した目録を作成した。この目録はまだ不完全であるので、より充実させて、広く学界の利用に供したいと思っている。
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