研究概要 |
研究課題「14・15世紀ドイツの政治史・政治思想史の基礎的研究」については,平成10年度に引き続き,データの収集,史料の読解にを含む基礎的研究を継続して遂行することができた。また,15世紀前半に成立したとされる『ジギスムントの改革』等の史料・文献を研究する過程で,その前提となる「金印勅書体制」の実体と,帝国基本法たる同勅書に拠る帝国政治の進行に関して,新たに究明すべき課題が得られ,『ジギスムントの改革』研究と並行して此の問題を解明し,研究課題の究明を深化・拡大させることができた。 本年度の研究成果は,(1)昨年度末に完成していた論文1編を,本年度さらに改訂補筆して,「『金印勅書』体制下の選帝侯会議-14世紀における選定侯同盟の意義-」並びに「1400年のドイツ国王選挙-ヴェンツェル廃位とループレヒト・フォン・デア・プファルツの選出をめぐって-」という2つの論文に拡大し,学部紀要に発表した(平成12年3月刊行)。 (2)前年度末にほぼ出来上がっていた「『ジギスムントの改革』に見られる帝国・帝権意識」という表題の論文について,本年度更に収集あるいは閲覧した文献・史料に基づき,現在鋭意改訂中であり,平成12年度の学部紀要に発表する予定である。 (3)その他,『ジギスムントの改革』と時期が重なるコンスタンツ公会議の時代に,皇帝・帝国の教会改革に果たす役割に関連して,「フランシスクス・ザバレッラと公会議主義」という表題で一論文を執筆し,本年度刊行の共著論文集に所収される。
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