研究概要 |
研究課題「14・15世紀ドイツの政治史・政治思想史の基礎的研究」については,平成11年度に引き続き,データの収集,史料の読解を含む基礎的研究を継続して遂行することができた。15世紀前半に成立したとされる『ジギスムントの改革』を研究する過程で,新たに究明すべき課題が見つかり,『ジギスムントの改革』の内容研究と並行して,これに付随する重要な研究視点を得て問題を解明し,研究課題の究明を深化・拡大させた。 12度の研究成果は,(1)11年度末にほぼ完成していた「『ジギスムントの改革』に見られる帝国・帝権意識」という表題の論文について,本年度に更に収集あるいは閲覧・解読した文献・史料に基づき,『同改革』写本・刊本等の流布状況をも検証した上で,加筆・改訂を行い,「『ジギスムントの改革』(Reformatio Sigismundi)の社会観と帝権理念-この世の新秩序と帝国・皇帝・国王-」という表題の研究報告論文を作成した。これは平成10-12年度科学研究費補助金研究成果報告書に収録される。 (2)『ジギスムントの改革』と時期が重なるコンスタンツ,バーゼル両公会議の時代において,皇帝・帝国の教会改革に果たす役割に関して,教皇庁官僚のニーハイムのディートリヒ(Dietrich von Nieheim)の著作に見られる帝権・帝国理念並びに彼の「ローマ帝権史」解釈について,その著書『Viridarium imperatorum et regum Romanorum』『Historie de gestis Romanorum principum』『Cronica』『Gesta Karoli Magni imperatoris』等の読解・内容分析・検討に着手したが,(1)の改訂・補訂作業に厖大な時間を要したため,次年度以降の研究継続を期している。
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