1. ジェンダー概念を主軸としたアメリカ史研究を、方法論を中心に行うことが今年度の目的であったが、これをほぼ達成すると共に、実証研究においても成果を上げることができた。 方法論の研究に関しては、ジェンダー概念を、多文化主義とフェミニズムの関係から考察し、人種・エスニシティおよび階級と関係づけてとらえ、そうした枠組みに基づいて全体的なアメリカ史の新しい解釈への応用を試みた。 実証研究においては、第二次大戦下のアメリカ女性の労働をとりあげ、これを現在盛んに論議されている公領域(public sphere)の観点から検討した。その結果、大戦下の女性労働は私的な意味を持ち、ジェンダー役割は変わらなかったことが明らかになった。 さらに、20世紀アメリカ史の社会史的解釈にも取り組み、研究論文、著書、一次史料の収集・研究を行った。 これらの研究の成果は、別記の論文や国際会議などでの口頭発表において示した。 また、20世紀アメリカ史に関しては、来年度に著書としてまとめる方向で研究している。 これらの研究のために購入した America:History and LifeのCD-ROMは、諸般の事情で入手が遅れたものの、非常に有益であり、今後大いに利用できる。 2. 夏期を利用して渡米し、アメリカ人研究者(Carl Degler教授、Estelle Freedman教授、Richard Abrams教授)に、論文を読んでもらい、レビューを受け、これを参考に別記の国際会議での発表論文をまとめた。
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