今年度は、職人組合の存在・機能形態を中心に研究を行った。第1の成果は、職人組合が帝国・領邦・都市のシェンク禁令にもかかわらず、1570年代の一時期を除いて自分たちの旧来の諸権利を保持していることである。ただし、職斡旋権については、親方の職斡旋役が1573年以降に登場し、職人・親方が共同で労働市場調整を行うようになっている。 第2の成果は、社会的機能における相互扶助の点である。中世職人組合成立の要因の一つは、親方の職人に対する扶養・保護機能の停止であったが、17世紀以降再び親方がこの機能をもつようになる。したがって、ここでも、職人と親方の共同社会扶助が看取される。 これらの成果をふまえ、来年度は、職人の賃銀や休日といった経済状況を中心に研究を進める計画である。
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