1.地形や考古資料に基づいた空間分析について、IDRISIなどの既存の地理情報システムソフトウェアの利用にとどまらず、コンピュータ言語の一種であるPer1やPer1/Tkを用いた独自の処理プログラムを作成し、多様で柔軟な処理が行えるようになった。プログラムの一部は研究成果報告書で公開した。 2.上記のプログラムにより、国土地理院の提供する数値地図や、世界の標高データを提供するGTOP030のデータを自由に処理して地形分析を行うことが可能となった。 3.中国・四国地方を中心とする地域の前方後円墳のデータベースが完成し、空間分析と結びつけて、前方後円墳の分布を画像で表示できるようになった。 4.古墳時代の地形や土地条件から農業生産力を復元するプログラムの作成を進め、そこから集落モデルを作成し、実際の古墳分布などとの相関関係を明らかにした。 5.作成した集落モデルに基づいて、交通や交流のモデルを作成し、人口増大・通婚・物資流通・文化伝達などのシミュレーションを行うための基礎的な作業を行った。 6.以上を通じて、空間分析によって地域を表現できるようになり、古墳時代社会の研究手法を前進させることが可能となった。これは、地理情報システムを用いた古墳時代の研究としては、日本で最初の本格的成果であると思われる。
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