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1998 年度 実績報告書

山田寺式軒瓦の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10610402
研究機関東北学院大学

研究代表者

佐川 正敏  東北学院大学, 文学部, 助教授 (40170625)

キーワード山田寺式軒瓦 / 山田寺式軒丸瓦 / 重弧文軒平瓦 / 山田寺系軒丸瓦 / 外縁 / 重圏文 / 蘇我倉山田石川麻呂 / 天武朝
研究概要

1 本年度の研究目的:東北・関東地方に分布する山田寺式(系)軒瓦の調査と研究
2 本年度の資料調査
(1) 東北地方:宮城県名生館遺跡、大蓮寺窯跡、郡山廃寺出土瓦を中心に、東北地方7世紀末〜8世紀初の軒瓦全般の調査を実施し、写真、調書などによる資料化とその整理を行う。
(2) 関東地方:伽藍配置が明瞭な群馬県上植木廃寺と千葉県龍角寺跡を中心に、関東地方7世紀後半の軒瓦全般の調査を実施し、写真,調書などによる資料化とその整理を行う。
3 本年度の調査研究の成果
(1) 東北地方:宮城県名生館跡、大蓮寺窯跡、福島県麓山廃寺の軒丸瓦は、外縁に重圏文を欠くが、山田寺系軒瓦とするだけの文様上の特徴をもっている。平板化した弁は山田寺軒丸瓦F種に類似するので、7世紀末に近い年代が推定される。これらには重弧文軒平瓦を伴う。郡山廃寺の軒丸瓦は弁が立体化し、前三者とやや趣を異にするが、山田寺系軒丸瓦の範疇でとらえられよう。これには重弧文軒丸瓦を伴わない。なお、郡山廃寺の調査中に新型式の山田寺系軒丸瓦を発見した。多賀城跡の軒丸瓦のモデルとなった郡山廃寺例を8世紀初とする従来の見解に賛成だが、名生館などの前三者を郡山廃寺にやや遅れるとする従来の見解は支持できない。
(2) 関東地方:上植木廃寺では4種の山田寺式軒丸瓦が知られており、今回の調査でそれらが金堂、回廊、塔、講堂に対応しうること、文様と技法の型式学的検討からそれらが堂塔の建設の時期差を示すことを明らかにした。龍角寺ではl種の軒丸瓦の范型を使用し続け、笵傷の進行段階が堂塔の造営過程に対応すると予想される。
(3) まとめ:龍角寺の軒丸瓦は蘇我倉山田石川麻呂創建期である640年代製作の山田寺軒丸瓦D種に類似するので、それに近い時期、上植木廃寺では弁がやや平板化する、麓山廃寺、名生館、大蓮寺窯跡では重圏文を欠く、郡山廃寺では弁が変形するので、天武朝山田寺再造営期以後の7世紀末〜8世紀初の製作と推定される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 佐川 正敏: "吉備池廃寺の調査" 奈良国立文化財研究所年報. 1998-II. 58-68 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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