本年は3年間の研究期間の最終年度に当たる。今まで研究してきた課題を整理し、あらたに主格助詞ガ・ノの課題を研究した。 今までの課題と最終年度の成果 1、全国の活用体系の研究・・・特に問題をはらむ九州の活用体系の変化を研究して、この地域の近世末期文献と比較検討した。最終年度には、全国的な活用体系の模様を考え、九州の活用体系もこうした動向の中に位置づけた。 2、意志表現の助動詞の問題・・・共通語でウ・ヨウでなされるが、全国にはウズ・ベー・ローなど多様なものがある。全国的な模様の考察の大概は済ませていたが、特に今年度は近世地方文献からの考察を加え、また議論のあるロー成立の要因について考えた。ローについては、ヨウ成立の時期と重なる動きであると考えた。 3、推量表現・・・ウ・ヨウ、ダロウ、べー等によって行われるものである。これも昨年度までに研究したが、今年度は近世文献からの考察による深化をはかった。 4、理由表現・・・・これも昨年度までに概要を研究したが、今年度は中世・近世文献をくわえて補訂した。特にカラ・デ、中・四国・九州北半部にあるケニ・ケン・キニ・キー類の由来を考えた。 5、主格助詞ガ・ノ・・・今年度新たに設定した課題である。全国的な概要は捉えたものの、分布解釈が難渋して、報告書には盛り込めなかった。 6、方言国語史の方法・・・このテーマで考える機会があり、上記の課題と関係する方言国語史の考え方をまとめ、その中に上記2の内容の概括を盛り込んだ。
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