1.全国活用体系の研究 『方言文法全国地図』では、近畿と関東中央に現代的な5種の活用体系があるが、中国ではナ変が加わり、九州では一段・二段類の五段化と下二段保持、またナ変の五段化が地域差を拭くんだ形で見られた。九州の場合は周圏論的に古いもの、九州での変化は地域的な音韻傾向がこの差異を発現させたことを考察した。 2.原因・理由を表す条件法 条件法の中でも最も複雑なこの場合を考えた。地理学的な考察と方言文献を交えた考察によって、西日本では已然形+バ→ニ・デ→ホドニ・ヨッテ・サカイニの変化を考え、東日本ではカラが古く近畿から伝播し独自に発達したと見た。酉日本各地のカラも起点の意味からの方言的な発達と考えた。 3.意志・推量表現 言語地図と方言文献から、関東にあるベーが古く、ウズ→ウ・ヨウの変化を考えた。西日本でははやくベーがかき消され、ウが盛んであるがヨウの発達は遅れている。一部にある一段活用類意志形の五段化した〜ローは、オ段拗長音の段階から語幹の回復をもとめて生じたもので、主として命令形の〜ヨの地域におこったものと推定した。
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