前年度からの継続として、大阪府とその周辺の各地点での談話テキスト(それぞれ約10時間分の談話資料)に出現する方言コードを検索・抽出し、計量的な処理を施したものについて、文法事項の記述を進めた。 記述事象を現在の実態と対比・検討するために、大阪府とその周辺地域で若年層約60組を対象に談話を収録した。この談話データの分析は来年度に行う予定である。 「全国談話資料データベース」で欠けている重要地点のひとつ、長崎県下県郡厳原町(対馬)の方言資料の分析結果を別途報告書としてまとめた。具体的に焦点をあてたジャンルは、「動詞の活用」「可能表現」「待遇表現」そして「アクセント」などである。この談話資料は来年度、データ集として刊行する予定である。 なお、談話資料を用いた方言資料の重要性については、真田信治編著『展望 現代の方言』(白帝社 1999年11月)の中で、本研究も取り上げつつ、詳しく述べた(井上文子「談話資料による方言研究」)。 来年度末までに、全体の一応のまとめをし、報告書を作成する予定である。
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