研究概要 |
本研究は,日本の昔話研究に関する総合的研究をテーマに今年度については,明治期・大正期の昔話研究を対象として研究を行った。 特に,柳田邦男を中心とした民俗学における昔話研究については,遠野の佐々木喜善との関係を通して,その見通しを立てることができた。現在,刊行中の『柳田邦男全集』の解題にもその成果を導入し,基礎的な研究を進めているところである。佐々木喜善については,日本昔話学会で研究発表を行うことができるようにお願いしてある。一方,児童文学における昔話研究は,これまでその流れを見通すような研究がないので,なかなか進まない状況にある。現在、巌谷小波,石井研堂,蘆谷蘆村,坪田譲治の資料について収集と整理を進めている。この分野は昭和後期(戦後)になると,出版物も増えて複雑な様相を呈してくるので,そこまで広げることは考えず,昭和前期までに限定して,二つの流れとその交流を押さえることにしぼり込みたいと考えている。
|