研究課題
本研究は、伏見宮家の学芸の場の性質を明らかにするために、本年度は看聞日記の解読を行い、日記に記述されている儀礼・有職、芸能、和歌・連歌、物語類、人名・地名について関連資料をも用いて調査し、あわせて中世語資料としての分析を行った。その結果、次のような成果を得た。1、 看聞日記の応永三十年の一ヵ年分については、訓読と注釈作業をほぼ終了した。これを整備して、中世日記の注釈の一事例として、一部または全部を公刊する用意がある。2、 看聞日記の注釈作業を通じて伏見宮家文化圏を構成している人物たちの関係、当主貞成親王とその家族・親族との関係、家臣の関係、家臣たちの役割、およびその活動の様相を具体的に把握することができた。3、 応永三十年を中心とする年中行事、月次行事の展開とその解説、人名・地名索引と各項目の解説を試作した。これらは、今後の看聞日記解読のための、また伏見宮文化圏の構成を明らかにするため基礎資料となるであろう。4、 看聞日記の注釈を通じて、中世日記の表現の特色、中世文章語の性質が明らかになった。5、 現在のところ、本研究によって直接挙げた成果を論文等のかたちで発表するには至っていないが本研究のために収集した資料を用いて、また看聞日記の解読作業を通じて得られた知見を応用して、各研究分担者は、関連する領域での研究論文を発表し、またその予定である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (11件)