研究課題
「聖徳太子伝」諸伝本は現在までの調査で、およそ7系統に分類できるという見通しを得ている。今年度はその各々の系統で最善と判断され、校本の基礎となる本の所蔵者の内、以下の3所蔵者の「太子伝」について、研究実施計画に従い担当者が出張し、精密な文献学的調査のうえ、撮影とネガフィルムからの紙焼写真作製とを行った。山田本系 大阪市四天王寺蔵本万徳寺本系 瀬戸市万徳寺蔵本新たに許可を得た奈良市東大寺蔵「正法輪蔵」存4巻そして、その後さらに諸本を索捜し、以下の12箇所の閲覧調査を実施した。日光市輪王寺・山東町柏原成菩提院・京都市大谷大学図書館・京都府綜合資料館・伊勢市神宮文庫・西尾市岩瀬文庫・天理市天理図書館・坂出市白峰神社・志度町多和文庫・琴平町金刀比羅宮図書館・大阪市大阪府立図書館・仙台市東北大学附属図書館この結果、宝物館改築中の為許可を得られなかった醍醐寺を除いて、所蔵者の賛意と協力とを頂き、当初の予定通りほぼ順調に系統分類の基礎となる校本作成が進捗している。諸本の関係や文化史上の位置も明らかになりつつあり、別掲の牧野和夫の著作等で報告することができた。こうした結果をふまえ、最終的には各系統別の解題と校勘記とを附した、影印本「聖徳太子伝」全4巻の集成をめざしたい。
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