研究課題/領域番号 |
10610436
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
紅野 謙介 日本大学, 文理学部, 教授 (20195671)
|
研究分担者 |
藤森 清 金城学院大学, 文学部, 助教授 (20262826)
関 礼子 亜細亜大学, 教養部, 教授 (00171330)
|
キーワード | ジェンダー / 国民国家 / メディア / 近代文学 / 通俗小説 / 文化主義 |
研究概要 |
近代日本において女性/男性の差異と境界が文学言説においていかに構成されたかを探る動態的なジェンダー研究を目的としたが、より精緻な分析をおこなうためにあえて鳥瞰的視点をとらず、二つの時期に絞って共時的な観測をおこなうことにした。 1つは今世紀初頭の1900年前後である。近代国民国家の成立期にあたるこの時期において、新聞雑誌メディアがどのような言説を組み立てているかを探るため、各種の文芸雑誌(「文芸倶楽部」CD-ROM版など)や新聞紙面における事件報道、また当時最初の女子大学であった日本女子大学の広報誌などの収集にあたり、これらの資料を整理した。いま1つは1920年前後、いわゆる大正デモクラシーの叫ばれた時期である。この時期、吉屋信子ら女性作家たちが書いていた通俗小説や、与謝野晶子らによる「文化主義」の言説にはどのようなジェンダー概念が組み込まれていたかを探るべく、それらの資料の収集と整理をおこなった。女性の権利主張の段階とはべつに、この時期に「国民」の名のもとに性差の解消が求められていることなども次第に見えてきた。 補助金の支出に際しては、図書資料の購入や各種図書館・文学館での貴重資料のコピー、それらのデータ整理のためのパーソナル・コンピューターの購入に当てた。また計5回にわたり、収集と整理の結果を報告する研究会を都内で開催したが、名古屋在住の藤森清氏、またゲストスピーカーとして神戸女学院大学専任講師の飯田祐子氏にも参加していただくため、そのつどの交通費、宿泊費を補助金より支出した。 次年度もひきつづき資料収集と整理にあたり、包括的な成果の発表にのぞみたい。
|