平成10年度は「石印鼓詞」についての原資料の蒐集とその読み込みを行ない、さらにはそこから抜粋した資料をパソコンに蓄積することを行なった。 また、私の研究は中国古代小説関係であるので、現地の関係者との接触は必要で、1998年12月に台北を訪問し、中央研究院歴史語言研究所の陳錦〓氏及びロシア野学者リフチン氏にこの研究についてのレビューを受けた。陳錦〓氏は20年以上前からこの説書資料の整理、目録を作成しているこの研究分野の第一任者であり、研究についての助言を受けたり、意見交換を行なった。しかし、短期間だったため、同氏の勧める、現時点で上海椿蔭書局ならびに協成書局より石印刊行されたいわゆる「石印鼓詞」の所蔵が知られる中央研究院歴史語言研究所附属傳斯年図書館での資料閲覧は、資料に一応目を通す事は出来たが、これと思う資料を読み込むまでには、いたらなかった。来年度も再度レビューを受けに出かける必要がある。今回、いわゆる「石印鼓詞」にも、出自の異なる複数のグループのあることがはっきりした。次回までに情報を整理し、グループを確定し、わずかながら目を通した作品の分析をすすめ、かって作成した石印鼓詞目録の補充をしたい。 7月から8月にかけて出かけた北京では、中国社会科学院文学研究所の石昌渝、劉世徳氏にレビューを受け、また石印本鼓詞に関する資料並びに情報を提供していただいた。 また、天津南海大学の李剣国、寧稼胡氏と意見交換をした。劉世徳氏とは11月にも意見交換をしたし、リフチン氏とはこの3月に東京で会う予定である。なお、3月には国内においてこうした資料を蔵している天理図書館におもむくことにしている。
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